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人材育成に必要不可欠な3つの要素

様々な企業が人材育成を重要視しているのではないでしょうか。しかし一方で、「見て覚えろ」「自分で考えろ」「頑張れ」などという職務放棄とも言えるような状態が蔓延している企業も多く存在します。

今回は、人材育成に必要不可欠な要素を3つにまとめてみました。

目次

企業ビジョンと個人ビジョンの相互理解とすり合わせ

1つめは、『企業ビジョンと個人ビジョンの相互理解とすり合わせ』です。すり合わせと言っても、決して、個人のビジョンを企業のビジョンに合うよう矯正するといったことではありません。

企業のビジョンや目標と、個人のビジョンや目標をまずは理解し、企業のビジョンや目標の中に現場の社員一人ひとりが個人のビジョンや目的の達成に役立つような共通点を探すということです。その上で、企業・個人のビジョンや目標の達成に対し全面的にサポートするのです。

企業のビジョンを理解し、上司や同僚、部下が互いにビジョンや考え方を理解し、企業と個人のビジョン達成のためにサポートし合う文化の企業と、”仕事は見て覚えろ”というような文化の企業、どちらが社員のモチベーションが高いかは明白です。これは、社員の成長だけではなく、離職にも直接影響を及ぼします。

目標や行動を具体的にする

2つめは、『目標や行動を具体的にする』です。育成には、目標地点と現在地点を明らかにしてその差を埋めるために必要な行動を設定し実施していくことが必要です。まず、現状の姿と将来あるべき姿が明確でなければ、どうなれば良いのかもイメージできず、何をすればいいのかもわかりません。

日々の仕事の指示も具体的である必要があります。

例えば、「最近売上がどんどん下がってる、しっかりやれ」というのと「今月売上5000万円で最重要顧客のAとBの売上が特に減少していて、AとBだけで1000万円減少しています。来月の売上予算の5500万円の目標達成には、早急にAとBの売上減少の原因を特定し、原因の改善と顧客のフォローを実施する必要があります。そこで~」ではどちらの指示がわかりやすく、取り組みやすく、また効果を期待できるでしょうか。

間違いなく後者ではないでしょうか。

「しっかりやれ」と言い、結果が出なければ叱責する。これは、上司自身の仕事の出来なさと責任を全て部下に押し付けているだけに過ぎません。

“具体的にする”の具体的とは、何を持って具体的と言えるのでしょうか。よく言われるのは、5W1HでWho(だれが)、When(いつまでに)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)を満たしているという基準です。確かにないよりは明確ですが、5W1Hが最適なのでしょうか。今回は、5W1Hとは別に目的や行動が具体的かどうかを確認するための基準を1つご紹介します。

MORSの法則

具体性を満たす基準として、頭文字のM(Measured)、O(Observable)、R(Reliable)、S(Specify)を取ったものです。

M(Measured):計測できる

まず、1つめは”計測できる”です。具体的な数値で表されることが必要です。目標や行動に関しても数値で表します。数値で定量的に捉えることで比較でき、明確な基準となります。

O(Observable):観察できる

2つめは、”観察できる”です。誰がみてもどんな行動をしているのかわかる、客観性が必要です。あの人から見るとAだけど、この人からみたらB、ではなく、誰から見てもAでなくてはなりません。

R(Reliable):信頼性のある

3つめは、”信頼性のある”です。そもそも内容が信用できるかどうかが必要です。例えば、事実に基づいていなかったり、論理の飛躍があるような内容は、信頼性がなく前提として成り立たなくなってしまいます。

S(Specify) :明確化されている

4つめは、”明確化されている”です。明確化とは、先ほど5W1Hで表したように明確であることと、その他目標計画や目標管理などのように明文化されていることを示しています。詳細にすること、目で見える形にすることでより具体性は増します。

成果に結びつく行動を特定する

3つめは、『成果に結びつく行動を特定する』です。これはチームをマネジメントする人材には欠かせない要素です。

「仕事は見て覚えろ」「いいからやれ」という発言は、特定作業の熟練度だけは高いかもしれませんがそれ以外仕事は何もできない、と言っているのと同じようなものです。このような人は、何のために行っているのか、何が重要なのか、どのように取り組む必要があるのかなどといった考えはなく、日々作業としての仕事しかしていない傾向にあります。

成果に結びつく行動を特定するには、観察と検証を実施する必要があります。成果から、仮説を持ち、行動を観察し、検証することで、成果に結びつく行動の見極めが重要です。そのためにまずやるべきことは、行動と成果の進捗を記録・集計し、客観的にデータを分析することと、現場で徹底的に観察し検証することです。

成果に結びつく行動を見極めることを繰り返している上司から見ると、今なぜ部下が上手くいっていないのかがわかります。言い換えると、行動をどのように変えれば良いのかもわかります。

一般的に人は、行動を変えることによってメリットを得られることが理解できた時に、行動を変容する傾向にあります。成果に結びつく行動を理解している根拠を持った上司の具体的で適切な指示に対し、部下は確からしい根拠から効果が得られると理解すると、行動を変容するのです。

2つめで説明したMORSの法則を満たすことで、定量化、観察検証、信頼に至る根拠、具体的、これら全てに関して概ね網羅でき、行動の変化を促すキッカケとなる指示に繋がることがわかります。

まとめ

今回は、人材育成における必要不可欠な3つの要素についてまとめてみました。

企業と個人のビジョンや目的を相互理解し、企業と個人のビジョンや目的の達成に向けて全面的にサポートする。

目標や行動を具体的にする。

成果に結びつく行動を明らかにする。

この3つの要素が加わるだけで、人材育成は以前のものとは全く別物となります。

「見て覚えろ」「いいからやれ」「しっかりやれ」という文化の企業と、この3つの要素が根付いた文化の企業では人材やノウハウの観点で大きな差が生まれるのではないでしょうか。

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