経費削減のワナと経費削減に必要な3つのポイント
企業にとって大きな関心毎の1つである、経費削減。経費削減に取り組む企業も多いかと思いますが、その目的は経費を削減することで総利益・営業利益を増やすことではないでしょうか。
今回は、そんな経費削減において潜むワナと経費削減を進めるために必要なポイント3つを紹介します。
目次
結論
まず結論を先にお伝えします。
経費削減のワナ
経費削減の大きなワナは”間違った経費削減をした結果、売上も下がってしまう”です。経費削減が結果的に売上低下に繋がり、利益は全く増えず事業規模の縮小に繋がってしまった。これでは本末転倒です。
次に、経費削減のワナに陥らないために必要な経費削減3つのポイントを見ていきます。
経費削減の3つのポイント
経費削減を進めるために必要なポイントは以下の3つです。
ポイント1: 企業の状況によって優先順位を考える
ポイント2: 経費の構造化する
ポイント3:削減すべき経費は削減し、かけるべき経費はかける
それでは具体的な内容をみていきます。
経費削減のワナが起こる原因
結論で述べた”経費を削減した結果、起こってしまった売上の低下”これが起こってしまう原因について考えてみます。
そのために、まずは経費にはどのような項目があるかを把握しましょう。
経費とは
一般的に経費とは、原価(売上原価)と販管費(販売費及び一般管理費)の2つを指します。
原価とは、販売する商品やサービスを生み出すのに直接かかった費用です。販管費とは、販売費は商品の販売やサービスの提供に対してかかる費用、一般管理費は企業の一般管理業務に対してかかる費用です。
売上から原価を差し引いたものが総利益、総利益から販管費を差し引いたものが営業利益です。
経費削減のワナはなぜ起こったのか
経費削減のワナが起こったのは、本来削減すべきではない費用を削減してしまった結果、商品やサービス品質の低下が起こり、お客さまの信用や信頼を失ったからです。
業績が悪化したことを受けて、経費削減に走る企業のほとんどがこういった経費削減のワナに陥り、業績悪化に拍車をかけます。
では、なぜこのような行動を取ってしまうのでしょうか。
その原因の多くは、企業は何のために存在しているのか、誰を幸せにしたいのか、どんな使命があるのか、などといった大切なものを見失い、自社のお客さまを見ていないためです。経営とは内部を管理するものだと考え、自社の都合で商品やサービス提供することに走ってしまう。そういった考えや行動が、売上の低下や事業の縮小という状況を生み出します。
本来必要なのは、”変わり続ける外部環境、とりわけお客さまの要望に応えるために企業を変容させる”です。
経費削減の3つのポイント
続いて、経費削減を行う上で必要な3つのポイントをみていきます。
ポイント1:企業の状況によって優先順位を考える
1つめのポイントは、企業の状況に応じて優先順位を考える。
企業の状況とは、企業の売上規模や組織の段階です。要するに規模の小さい企業は経費削減を取り組むべき優先順位は低くなります。その理由は、極端な例ですが、かかっている経費が1000万円と100億円の企業を比較すればわかります。両者とも5%の削減を行ったと仮定します。
1000万円の企業:1000万円×5%=50万円削減
100億円の企業:100億円×5%=5億円削減
というように、規模に応じて得られる効果も違います。規模が小さく、限られたリソースの中でまず取り組むべきなのは経費削減ではなく、売上の向上です。
ポイント2:経費を構造化する
2つめのポイントは、経費を構造化する。
経費とは、あくまでも事業活動の結果発生した費用です。原因と結果が明らかなので、構造化が可能です。
構造化とは、自社の事業における全てのプロセスを洗い出し、どの段階でどういった費用がかかり、その費用が何に貢献しているかを明らかにすることです。要するに、自社の事業を分析し、直接的に売上に繋がっている費用・間接的に売上に繋がっている費用・全く売上に関わらない費用かを把握します。これには労力がかかりますが、2つの大きなメリットを得ることができます。
- 各費用がムダな費用なのか、最低限必要な費用なのか、更にかけるべき費用なのかを明確にできる
- 事業におけるすべてのプロセスを洗い出し費用と結びつける、このプロセスから自社の強み(優れた部分)や弱み(問題点など)の把握に繋がる
ポイント3:削減すべき経費は削減し、かけるべき経費はかける
3つめのポイントは、削減すべき経費は削減し、かけるべき経費はかける。
ポイント2で把握した内容を基に、ムダな経費を削減し、本来必要な経費はお客さまへの商品やサービス品質を更に向上する為に、しっかりと確保する。
これを実現するには、目的、そして計画と実行が大切です。
まとめ
今回は経費削減において陥りやすいワナと、経費削減に必要なポイントを紹介しました。経費削減は単に削り落とすものではなく、自社を必要としてくれているお客さまのために最適化するものです。
経費削減に取り組む際は、ぜひこの3つのポイントを意識してみてください。
中小企業診断士 | 薬剤師
独立開業←店舗運営改善・人材教育←法人営業←ドラッグストア。中小企業の増収増益の仕組みづくりのサポートをしています。得意分野はデータ分析、営業、マーケティング。