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経営計画書の本来あるべき姿

情報技術の高度化や日本の人口減少が進み、多くの市場が成熟化し企業間競争が激化する中、企業にとって変わりゆく環境に適応し変化する重要性が増しています。

市場で生き残っていくための指針として経営計画書を作成する企業も多い一方で、経営計画書の作成について何をどんなふうに書けばいいのか…、作ってみたがこれでいいのか…と悩む企業も多いのではないでしょうか。

今回は主に中小企業における経営計画作成の現状と、本来あるべき経営計画書の作成について紹介します。

小規模事業者・中小企業の経営計画書作成の現状

小規模事業者の経営計画の作成状況は図の通り、法人の約2/3が作成している状況です。

※小規模事業者、中小企業の定義についてはこちら

次に、経営計画作成の動機を見ていきます。

経営計画作成の背景や動機は、意外にも1位の”補助金申請に必要”や5位の”融資のために必要”に見られるような、経営する上での「補助金獲得」「融資獲得」という”手段”を得るための手段としての作成が多いとわかります。

そのため、実情は一時的に活用されて終わり、業績を向上させるために作成した経営計画が日々の経営に活用されていないといった、計画自体が絵に描いた餅になってしまっている状況が多々見られます。

ではなぜ、せっかく作成した計画が活用されていないのでしょうか。

その理由は、

実行に移せるほど具体的で詳細ではなく、見える形になっていないからです。

遥か頭上にある目標が見えるだけではそこへはたどり着けず、「欲しいな…」「手に入ったらいいのにな…」という望み(Hope)だけです。

遥か頭上にある目標に続く階段を設計(計画:Plan)して登り方を考える(戦略:strategy)からこそ、目標までたどり着けるのです。

Hope is not a strategyという筆者が好きなビジネス書がありますが、「こうなったらいいのにな」などの望みは戦略でも、ましてや計画でもありません。

では、業績を上げるための羅針盤やナビとして活用できる、本来あるべき経営計画の作成に必要な要素の一部をご紹介します。

本来あるべき経営計画

経営計画の全容は上の図です。

企業の理念やビジョンを根底に、企業の外部と内部の状況を把握した上で経営目標が決まります。それを基に全社戦略、次いで事業別・機能別の戦略を策定し、全社戦略に沿って目標を達成するための計画が全社経営計画、事業別・機能別戦略に沿って目標を達成するための計画が事業別・機能別計画になります。

それぞれが対となり、全てに一貫性があり連動している関係となります。

実施するにあたっては、計画の具体性が必要です。具体性とは、いつまでに・誰が・何を・どのようにするのかが明文化されていることです。その中で、実行の管理・効果検証・改善についても決めておく必要があります。策定する期間は通常3~5年です。

経営理念 | ビジョン

経営(企業)理念とは、経営(企業)の在り方を表すものです。状態を表す定性的なものだからこそ言語化が重要です。

”経営理念は経営者自身の信条で、企業理念は企業の在り方を表すもの、経営理念は時代と共に変わるもので企業理念は不変のもの”と教科書的に説明されていることが多いですが、どちらか1つの理念も社員の隅々まで浸透していない状態で名前も内容も違う2つの理念を使い分けるのはオススメしていません。

その企業が何を目的に存在しているのか

日々どういったことを信条にしているのか

その企業の強みは何なのか

というような内容を含む、経営の在り方を示すものが経営(企業)理念です。

ビジョンとは、経営理念を日々実践する結果、企業として辿り着きたい「実現したい未来」を指します。また、自社だけではなく本業を通してどのような社会を実現したいかという社会的意義などもビジョンとなります。要するにビジョンとは”どこに向かっているのか”を言語化したものです。

経営目標

経営目標は、経営理念やビジョンが状態を表す定性的な情報であるのに対し、定量的に表現されます。定量的な数値として表現すべき理由は、定性的な情報だけでは、主観の入り込む余地が大きく曖昧になってしまうからです。

例えば、”3年後市場でシェア40%になる”などです。いきなり、売上20億円などと絶対的な数値を設定することはおすすめしていません。なぜなら、万が一市場がなにかの特需などで一気に拡大した場合、目標にした売上では市場に対して過小すぎる、といったような状況が起こりうるからです。あくまでも、

売上=市場規模×市場シェア

で捉え、その結果売上が20億必要だ、というプロセスで定量的な達成水準を設けるべきです。

全社戦略

経営理念・ビジョン・経営目標を達成するために企業がとる戦略を指します。大きくは誰に、何を、どのように提供していくのかを考えていきます。

そのためにまず重要なのは、企業の置かれた状況の構造的な把握です。外部情報と内部情報の定量的な分析・把握が必要になります。特に重要なのは外部情報です。なぜなら、自社ではコントロールできない変わりゆく市場や顧客に対して、自社をどう適応していくか、が重要だからです。

しかし現実は、多くの企業で本当に必要な情報、とりわけ外部情報が不足しています。

まずは外部について調査し、知る。そして得た情報を構造的にまとめてみてください。そうすると、今まで見えていなかった本当の自社が置かれた状況を把握できるようになり、更にそこから目指すべき場所へ到達するにはどのように進めばいいのか、が自ずと見えるようになります。

事業別・機能別戦略

全社戦略の次に事業別・機能別戦略を策定します。全社戦略の下に位置付けられるもので、各戦略と全社戦略が紐づき連動している関係です。ここの詰めが後の計画の具体性に繋がります。

ここでも全社戦略と同じく、大きくは誰に・何を・どのように提供していくか、現状から目指す場所へはどのようにして進むかを考えていきます。

全社経営計画

全社経営計画は、全社戦略を遂行し経営目標を達成するための計画にあたります。細分化すると利益計画・販売計画・要員計画・設備計画・資金運用計画・資金繰計画から成り立ちます。

3~5年の年単位から月単位までに落とし込みます。

経営目標と利益計画・販売計画が連動、それを実現するための要員計画(ヒト)・設備計画(モノ)・資金運用計画/資金繰計画(カネ)の各計画が紐づいているようなイメージを持ってもらうとわかりやすくなります。

売上計画ではなくあえて利益計画を称するのは、将来の売上は利益から逆算して確定していくためです。

↓売上目標についてはこちらでまとめています↓

事業別・機能別計画書

全社経営計画書を基に各事業・機能まで落とし込みます。事業ごと・機能ごとの計画を遂行すれば自ずと全社経営計画にも従っており、経営目標を達成できるといった関係にあるものです。

一番重要なのは、その後の実行に繋がる計画になっていることです。計画の詰めがその後の実行・管理・改善に繋がります。目的・内容・方法・担当者・期限の明文化が必要です。

まとめ

業績をあげるための強力なツールとなり得る、本来あるべき経営計画書についてお話しました。

ポイントは、

  • 置かれた現状を正確に把握する
  • 目指すべき目標地を明確にする
  • 現状とあるべき姿との差を構造的に把握する
  • その差を埋めるための計画は具体的で詳細な内容である

の4点です。

経営計画に限らず、様々な計画において、計画の手順は個人的にはWhatから入ることをオススメしています。What(目的・目標・内容)、次にHow(具体的手段・施策・資源の配分)、続けてWho(役割分担・責任者)、最後にWhen(期日)というステップが”具体的”に1歩近づくための簡単なコツの1つです。

明確な目的を持って作成した経営計画書は、同じ経営計画書でも似て非なる経営計画書です。ただし、作成するだけでは何の役にも立ちません。作成後は必ず、社員が理解し浸透するまで、社内で何度も共有し、行動に繋げることが重要です。

これを機会に自社の経営計画書を見直してみてはいかがでしょうか。

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