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成長し続ける企業の売上目標設定に必要な2つの要素

経営においてほとんどの企業が行っている、売上目標の設定。経営戦略や経営計画の策定においては必ず設定することになります。しかしながら、売上目標の根拠がなかったり、曖昧だったりする企業も多いのではないでしょうか。

今回は、売上目標の設定におけるよくある間違いと、成長し続ける企業の売上目標の設定に必要な要素を見ていきます。

目次

売上目標の設定によくある間違い

売上目標の設定でよくある間違い例を2つ紹介します。

よくある間違い①

よくある間違いの1つめは、過去の売上トレンドにならい昨対105%・110%などに設定していて、売上目標の設定に根拠がない・根拠が曖昧という例です。

こういった設定をしている企業は、

「わが社の今年の売上は昨対105% 20億円です」

と、それらしい目標を述べることはできますが、「なぜ、20億円・昨対105%なのですか?」という問いに答えることができません。

意外にも多くの企業で、過去の自社の数字だけを見てなんとなく昨対105%、110%、などの目標設定になっています。

よくある間違い②

よくある間違いの2つめは、目標設定した売上では営業利益・経常利益が赤字になってしまう。もしくはギリギリ黒字でも、長期借入金の返済をするとキャッシュが流出してしまう、という例です。

要するに、目標の売上を毎期達成してもずっと赤字・お金が流出していく、という状態です。

これではなんのために目標を追いかけているのかわかりません。これも意外にも多くの企業の計画で見られる間違いです。

間違った目標設定をする原因

では、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。その理由は、大きく2つです。

  1. 必要な情報が不足している
  2. 正しい売上目標の設定方法がわからない

よくある間違い①は、重要な情報が不足していたために、過去の売上という限られた情報のみでしか目標を立てることができなかったために起こってしまう例です。

よくある間違い②についても、同じく必要な情報が不足していた、正しい売上目標の設定方法がわからなかったために起こってしまう例です。

売上目標の設定に必要な要素

正しい売上目標の設定は、まず自社の置かれた状況を外部と内部の情報から定量的に把握し、その上で市場の中で生き残り、繁栄するための自社の将来あるべき姿を確定します。それを実現するための売上が、設定すべき売上目標です。

今回は、売上目標の設定において重要な、

  1. 必要な7つの情報
  2. 正しい売上目標の設定の仕方

について紹介します。

必要な7つの情報とは

正しい売上目標の設定をするためには、上図表の外部情報と内部情報が必要になります。これは売上目標の設定だけではなく、経営戦略や経営計画の策定など経営において意思決定を行う上においても重要な情報です。

外部情報は、市場規模・競合他社・経済動向・業界動向。内部情報は財務情報・既存事業・新規事業。

この7つの要素が欠かせません。とりわけ重要なのが外部情報です。それは、企業にとって本当に必要な、価値のある情報だからです。しかし中小企業の多くはこの外部情報を十分に保有していません。業界の外部情報調査レポートが高額で販売されているのにも頷けます。

外部情報・内部情報ともに、定量的な数値としての把握が必要です。

よくある間違い①では、主に外部情報が不足していたために起こってしまった例です。

よくある間違い②では、主に内部情報の中でも長期借入金返済・人員・設備投資などの財務情報を把握していなかったために起こってしまった例です。

それでは次に外部情報と内部情報について簡単にまとめます。

外部情報

外部情報は、市場規模・競合他社・経済動向・業界動向の主に4つの情報です。それぞれの情報を的確に把握することが、自社を取り巻く業界の構造的な理解に繋がります。そして、業界・市場での自社の置かれた状況を客観的に把握することが、自社の将来目指すべき姿の確定に繋がります。

外部情報は自社ではコントロールできないものです。そのため、コントロールできない常に変化する自社を取り巻く環境にどのように自社が適応していくかという考え方が重要になってきます。

市場規模

市場の規模を定量的に把握します。市場規模がわかると自社の売上からどの程度の占有率があるかわかります。

また、市場規模から自社が物理的に獲得できる売上規模というものが見えてきます。

例としては、規模が約10億円の市場で売上目標が12億円というのは市場が拡大しない限りは不可能です。また競合他社が数社いる中で約10億の市場において9億円というのも現実的に難しいでしょう。

競合他社

主要な競合他社の情報を把握します。把握する情報としては、売上高と売上推移、店舗・事務所数、展開地域、社員数(特に営業・販売社員)、商品・サービスなどです。

先ほどの市場規模と併せることで、市場のなかでの競合他社と自社の位置づけを構造的に把握することも可能になります。

競合他社の力を見るには、生産(商品)力・販売力・供給力の大きく3つに分けて把握することをオススメしています。

経済動向

経済動向を把握します。このあたりは、国や県などの行政や民間でも豊富にデータがあります。現在までの動向、今後の予測などをデータから読み取り、把握します。

業界動向

業界動向を把握します。この情報は、各行政や各業界の協会や団体・民間などで多くのデータがあります。経済動向と同じく現在までの動向、今後の予測などをデータから読み取ります。

また、業界の平均営業利益率や黒字企業の平均営業利益率などをはじめとした様々な財務指標の基準を把握することも重要です。

内部情報

先ほど把握した自社ではコントロールできない外部情報とは違い、自社でコントロールできる情報が多いのが内部情報です。両情報を把握することで初めて根拠を持った目標設定・計画策定が可能になります。

常に変わりゆく外部の状況に対して、内部の状況をどう変化して適応していくか、ということが重要です。

財務情報

自社の財務状況を把握します。直近3期の損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書を見ることで大体の状況はつかめます。

売上目標の設定に際しては特に長期借入金の各期の返済額、減価償却費、経費を変動費と固定費に分けて把握することが必要となります。

既存事業

既存事業の情報は、現状の顧客データ・仕入れデータ・生産(製造業)データ・販売データと、計画書の情報です。将来計画の把握が今後の人材採用・設備投資・借入金状況の把握に、現状の把握が現在の正しい状況把握につながります。

新規事業

新規事業の情報は、既存事業の情報と同じく現状の顧客データ・仕入れデータ・生産(製造業)データ・販売データと、計画書の情報です。新規事業の場合は既存事業に比べデータが蓄積していないことが多く、計画書の情報がメインになります。

正しい売上目標の設定の仕方

先ほど紹介した外部と内部を合わせた7つの情報を把握したあと、売上目標の設定を行います。

正しい設定の方法は、いきなり売上高を設定するのではなく、当期純利益から逆算して設定する。

当期純利益の決め方は長期借入金の返済を終えたあとにいくらキャッシュを残したいか、から決まります。式で表すと

(当期純利益+減価償却費)-長期借入金返済額=残りキャッシュ

という式から

当期純利益=残りキャッシュ+長期借入金返済額-減価償却費

というように当期純利益を決定します。

当期純利益が決まればそこから逆算し経常利益が決まり、さらにそこから逆算し、営業利益が求まります。

最終的に売上は、営業利益と固定費を足した限界利益を限界利益率で割り戻すことで求められます。

利益から逆算した目標売上の確定により、長期借入金の返済後にキャッシュをいくら残すか・固定費の今後の増加はどのくらいか、などの重要な項目を考慮することが可能になります。

まとめ

必要な外部と内部の情報を把握し、正しい方法によって目標売上を決めることで、

目指すべき市場での地位を実現する売上高・目指すべき利益率・今後の計画で予定された固定費の増加・長期借入金返済の後に残るキャッシュを考慮した当期純利益、この全てを考慮した根拠ある売上目標の設定が可能になります。

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